以前、運行管理者になる為にはというお話をしました。
運行管理者の仕事って何なのか、実際に私が行っていた内容を掻い摘んでお話ししたいと思います。
私のお話は、貨物についてになります。
旅客については多少違うところもあると思いますので、機会がありましたら旅客についても調べたいと思います。
目次
運行管理者の仕事内容は?
運行管理者の主な業務内容は、ドライバーの乗務割の作成、乗務記録の管理、休憩・睡眠施設の保守管理、ドライバーの指導監督、業務前後の点呼によるドライバーの疲労・健康状態等の把握や安全のための指導などを行います。順を追って説明します。
ドライバー点呼(出発)
ドライバーが出勤してきたら対面にて点呼を行います。
学校でいうと出席確認みたいなことです。
出勤点呼は最も重要と言っても過言ではありません。
”点呼記録簿”というものを基におこないます。
※今回は、出勤・退勤時の点呼になります。IT点呼、中間点呼はのちに書きたいと思います。
画像は運輸安全Journal様よりお借りしました
体調確認
出勤してきたドライバーの表情、顔色、体調、声色など見て、聞いて、そのドライバーの体調が良いか悪いかの判断をします。
体温や病院から貰っている薬を飲んでいるかの確認、睡眠時間、飲酒検知器による飲酒確認も行います。
ここで体調が悪く運転させる事が出来ないと判断した場合は、運行させず様子見または帰宅させます。
ここで大事なことは、無理をさせないと言うこと。
ドライバーが稼ぎたいから、ドライバーが居ないからといって無理に運行させてしまうと事故のもとになります。
どうしても運行しなくてはならない場合は、休憩を多く取らせるなどして無理のない運転をさせるべきでしょう。
そして翌日は必ず休みにするという判断も必要です。
免許証の確認
運転免許証、フォークリフトやクレーンなどの免許証の確認を行います。
携帯しているか、期限が切れていないか、運転する車両等の免許保持者かなどを確認します。
最近はアルコール検知器に運転免許証をかざして検査を行うタイプもありますので提示しない場合もあるようです。
当然、免許証を忘れた場合は運転は出来ません。
アルコール検知器による検査の実施
運送事業者が運転者に対して実施することとされている点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用することとなっています。
営業ナンバー以外(白ナンバー)に於いても一定台数以上の社用車を所有している企業に対して、2023年12月1日からアルコール検知器を用いたアルコールチェックが義務化が開始されました。
これは、飲酒運転が無くならない事が理由で、車を使った仕事についてはアルコール検査が必要となり記録としても残すことになります。
このアルコール検査で陽性反応が出た場合は、即刻運転中止。帰宅も出来なくなります。
要は、飲酒運転して出勤してきた事となり(徒歩通勤以外)車両を運転させることが出来ないからです。
アルコール検査風景
出発前と配送終了して会社に帰ってきたら、必ずアルコール検査を行います。
画像は、西武通運株式会社様よりお借りしました
当日の運行確認 注意喚起
次に当日の運行予定を運行管理者とドライバーとで行います。
どこに積み込みに行くのか、配送先はどこなのか、時間指定の有無、渋滞情報などの確認。
ルート配送の場合(行先や配送地点が決まっている配送)は、その日の物量や、配送先の有無、時間変更などの確認を行います。
配送業態によって確認内容も変わりますので勤めている会社ルールに従って点呼を受けましょう。
運行に際して注意などがあった場合にもこのタイミングでドライバーに喚起します。
そして何も問題が無かったら出発です!
※トラックの運行前点検もありますが、別途書きたいと思います。
【点呼規則】
※運行前・運行後点呼は必ず行わなければなりません。
・事業者は、点呼を実施させなければならない(輸送安全規則第7条)
・運行管理者は、点呼を実施しなければならない(輸送安全規則第20条)
・運転者は、点呼を受けなければならない(輸送安全規則第17条)
画像は、能代運輸株式会社様よりお借りしました
車両管理
車両に何らかの問題があるまま配送すると、事故につながってしまう可能性があります。
そのため、トラックの状態に問題がないかをチェックします。
車両点検自体は整備士や整備管理者が行うことが多いですが、点検の結果などは運行管理者に報告されます。
報告された車両に何か問題や異変があった場合は原因を調査して修理や整備をすることになります。
その車両整備、点検スケジュールなども運行管理者が行います。
安全管理
事業者(会社)によりドライバーとして選ばれた者(選任ドライバー)のみが、事業用の車を運転する事ができます。
ドライバーの疲労や健康状態を把握し、疾病、疲労、睡眠不足などの理由により、安全に運行できない可能性があるドライバーには乗務させないようにする必要があります。
長距離運転や夜間運転で、疲労などから安全な運行を続けられない可能性がある場合は、前もって交代のドライバーを配置します。
さらに事故を防止するために、講習やトレーニングをしてドライバーのスキルや安全意識を高めます。
運転中だけでなく、荷物の積み込みに関しても管理が必要です。積載方法や、荷物の載せすぎを防ぐための指導や監督も行います。配送中の荷崩れによる落下防止のため、ロープやシート掛けの方法についても指導します。
実務的なことは、先輩ドライバーが新人ドライバーに指導を行う事が多いですが、運行管理者が指示したのちに行っています。
これら全て運行管理者が指導・教育を行います。
教育資料の作成、適性検査などの申し込みや準備も行います。
新しく入社した会社で”初任診断””初任教育”を行いますがこちらも運行管理者が行います。
労務管理
運行管理者は人材の管理も担当。
乗務前後には対面による点呼。出勤や退勤・ドライバーの健康状態・アルコール摂取の有無・睡眠状態・免許証の携帯・身だしなみなどもチェックします。
点呼記録簿を確認して、ドライバーの労働時間や残業時間を把握します。
ドライバーの労務管理をすることで、ドライバーの過労運転を防ぎます。
さらには睡眠や休息を目的としてドライバーが利用する施設を管理することも仕事の一つです。
残業しすぎていないか、労働時間が長すぎないかをチェックし、労働時間に見合った報酬を受けられるようにサポートする役割もあります。
スケジュール管理
納期や運行スケジュールなど、スムーズに業務が遂行できるよう計画を立てます。
ドライバーの中には経験豊富な人もいれば、まだ経験の浅い人もいます。
ドライバーのキャリアや能力も鑑みながら、効率よく業務がこなせるようにスケジュールを作成する必要があるのです。
また、乗務割を作成する際は細かい基準も守らなくてはなりません。
連続運転時間は4時間を超えないようにすること、1日に継続して9時間以上の休息をさせることなど。
拘束時間も定められているため、決められた時間を超えないように配慮しなくてはなりません。
休憩時間まで考慮して計画を立てます。
運行管理者は、従業員の生活も携わっていることになりますので、偏った乗務割をしてしまうと、その従業員の生活も変えてしまう事になります。
平等且つ正確に運行計画を経てなければいけないという事も考えましょう。
画像は株式会社南港マリン様よりお借りしました
運行管理者(国家資格)の仕事ってなに?貨物運送事業の仕事内容を解説のまとめ
如何でしょうか。
運行管理者は、運転手の為、会社の為といった重要なポストになります。
運行管理者がいないと運送業が出来ないというほど重要です。いわば、頭脳と言っても良いでしょう。
運行管理者にとって一番必要なのは、ドライバーさんとのコミュニケーションです。
人対人ですので、運行管理者が、ドライバーさんの気持ちになって教育・指導・指示を行わないとドライバーさんもついてこないですし、いい加減な仕事をします。
事故も起きるかも知れません。
はっきり言いますと運行管理者の仕事はとても大変です。トラックを運転していたほうが楽だと思う時もあります。
ですが、自分が計画を経てた運行が、ドライバーさんが事故もなく帰ってきた時の思いというのは何とも言え難いものがあります。
ドライバーさんが気持ちよく仕事するには運行管理者も気持ち良く仕事しなければなりません。
大変ですが、やりがいは凄くありますので興味のある方は挑戦してみては如何でしょうか。
私は現役ではなくなりましたが良い経験をさせてもらったと思っております。
次の世代の方には私の経験を生かした指導をしたいと考えております。
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